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新米、介護者奮闘記「“オカン”ジャストフィット⁉シューズを探せ!」【前編】

登場人物

● 母(大阪弁で“オカン”):約60年、大阪暮しなので会話文には「大阪弁」が混じります

 この夏で93歳になりましたが、父が亡くなった後マンションで一人暮らしをしています。市販されている買物バッグ付きのカートを歩行器代わりに近所のスーパーまでなら何とか歩いてゆける状態ですが、階段や段差は一人では困難です。

▲ 私:生まれ育ちが大阪ですので会話文には母同様に「大阪弁」が混じります

 一般企業を定年退職し4月から家族と離れ単身で「介護実習普及センター」に事務員として勤務しております。その傍らで母の面倒見(というより様子見)をしていますが「介護」に関しては全くの素人ですので、ちゃんと勉強しよう・・とは思っています。

◆ 介護実習普及センターの相談員の皆さん:本文中では「相談員さん」と呼ばせていただきます

 どなたも介護の専門家揃いで、母の靴の件で色々とアドバイスをいただきました。すごく頼りになります。

■ メーカー展示直売所の説明員さん:本文中では「説明員さん」と呼ばせていただきます

 最近、耳の聞こえがめっきり悪くなった母を相手に、2時間近くも付きっ切りで親身になって靴の試着や説明をしてくださいました。(しかも当日は補聴器を忘れてしまったので大変だったと思います)頭の下がる思いです、本当にありがとうございました。

母の“靴”探しをするきっかけ

 外食に出かけたとき座敷の席しかなくて、そこで靴(一般的な市販のスニーカー)を履くのに思った以上に悪戦苦闘している母を見て                                    「ひも靴は履き難いやろ?もうチョッと履きやすいのに変えた方がええんちゃうか?」         「靴のせいやないねん。私の足は左右で大きさが全く違うからいくら靴の種類を変えても、左右どっちかは こうなるんや。もうええ!とっくにあきらめとる。」と半ばやけになって、それ以上は全く話にも取り合わない様子でしたので、お店を出ました。

 帰ってから、どうして今まで、そんな母の足に気付かなかったのだろう?という思いが残り、親不孝の罪滅ぼしで、せめて靴のカスタマイズに対応してもらえる所くらいは探してみよう、というのが、母の“靴”探しの始まりでした。

専門家に相談

福祉用具展示場の介護シューズコーナー

 現実に靴探しとなると具体的にどうすればいいの?と思案してしまいましたが、よく考えると今、事務員とは言えせっかく介護専門の職場に勤めていて、介護シューズも沢山展示しているのだから一度、相談してみよう、と思い立ち相談員さんにお聞きしてみました。

「うちの“オカン”が言うには『左右の足の大きさが全く違うから私の足に合う靴なんて無いわ』ということらしいのですが、介護シューズで左右別々のサイズを販売してくださるとか、或いはカスタマイズに応じてくださるメーカーさんは有るのでしょうか?あれば紹介してください。」

「介護シューズ」といっても、その用途、機能は様々

相談員さんが言うには                                   「心配しなくてもいいですよ。左右の足、別々に販売対応しているメーカーさんはちゃんとあります。それに費用はかかりますがカスタマイズに応じてくださるところもあります。」                 「ただ、その前に一度、お母様の左右の足をきちんと測定してあげてください。その時に足長だけではなく足幅や足囲も一緒に測ってあげてくださいね。その結果をみて考えましょう。せっかくなので、何社かのカタログも持ち帰ってお母様とご覧になってみてください。足の測定方法を詳しく説明していたり、メーカー毎に品揃えの特徴があったりで靴選びの参考になることがあると思いますよ。」と非常に適切なアドバイスを受けました。

 逆に“オカン”の話しを鵜吞みにして、肝心の事実確認ができていなかった自分の浅はかさに赤面の思いでした。トホホ・・

さっそく実測!すると・・・

 持ち帰ったカタログを読みながら三角定規を使って慣れない手つきで足の測定をしていて「“オカン”の足はこんなに細長いパイプみたいな形をしていたのか?」と今更ながら感じたのですが、そんな印象を裏付けたのが次の測定結果でした。

 何と左右の足のサイズは足幅・足囲含めてほぼ同じ、言い換えると足長だけではなく足の形も左右の違いはほとんどない!ということだったのです。なんだ“オカン”の勘違いかと安心したのもつかの間、もう一度よく数字を見てみるともっと重大なことに気が付きました。

それは

・足長の割に足幅、足囲の数値が小さい = 足の形が左右とも極端に細長い。

・介護シューズといえどカタログを見る限りでは、残念ながら、ここまで極端な足の形に対応できているメーカー、製品はない。

と言うことでした。「えらいこっちゃ!」

 このまま自分に合った靴が見つからなかったら、近いうちに、歩くこと自体を止めてしまうのではないだろうか?とか、そうなったら自分の生活は100%“オカン”の介護に費やすことになるのか?とか後ろ向きのことばかり考えていました。

 唯一の救いは母の様子です。自分が気に入った外出用の品ぞろえが豊富なメーカーさんのカタログを熱心に見ながら、久しぶりに“お買い物気分”になったのか「この赤いレインブーツはええね。」とか「この靴の色は地味かいな?」なんて楽しそうに話しています。「左右で足の大きさが全く違う。」という“悩み”はどこへ行ったの?と少しムッとする部分もありましたが、気を取り直して靴を新調することで再び歩く気になってもらえれば、それに越したことはない!と気持ちを切り替え、こうなったら、何としても“オカン”ジャストフィット⁉シューズを見つけようと、決意を新たにした次第です。(レインブーツ?雨に日にわざわざ買い物に行くの?それはやめて欲しいな・・と本音では思っていました。)

少し希望の光が

 そこで、もう一度、相談員さんに測定結果を見てもらったところ                「確かにカタログスペックでみると、お母様の足にフィットする靴はありませんが、カタログだけで判断するのは早計かもしれないですね。」

「どういうことですか?」

「普段、靴を選ぶ時、実際に試着してみたら履き心地からサイズ感まで全く違ったということがよくありますよね。靴選びはやはり実際に試着してみるのが一番です。ちょうど、お母様推しのメーカーさんの展示直売所が博多にあるので、一度、足を運ばれてはどうでしょう?メーカー直売所だとサイズバリエーションも豊富に揃えておられるでしょうから、その点でも行ってみる価値はあると思います。」

「また、靴を足の状態にフィッティングさせるノウハウは靴の素材、機能から靴ひもの結び方まで介護シューズのメーカーさん毎に本当に色々とお持ちになっておられますから、そんなことも相談なさってみてはいかがでしょう?」

 なるほど!足に合う靴を探しあてることばかり考えていたが、逆に、靴の方から足の形に合わせにきてれくれるのだ、さすが介護シューズ!なんて自分なりに納得できた思いになり、早速、次の休みに博多のメーカー展示直売所まで母を連れて行くことにしました。

 

     ★★★ 展示直売所でのやりとりは【後編】で (9月22日掲載予定です)